多頭飼育崩壊を考える

近年、ニュースでも時折耳にする犬や猫の多頭飼育崩壊ですが、2023年秋、瑞穂町役場からの知らせで町内でも猫の多頭飼育崩壊が起こっていることを知り、すぐに役場の担当者とメンバーが確認に駆け付けました

一言…酷い光景です
(多頭飼育崩壊の現場には必ずいくつかの共通点を感じます)

多頭飼育崩壊にまで至った場合、もう飼い主個人の力では抜け出せません
今回も、瑞穂町とボランティアで猫を助ける=飼い主を助けるという事で動き出しました
そんな矢先、飼い主さんが急逝されてしまいました

残された猫たち20頭…
遺族(別居のご家族・ご親戚)には相談を進めていく中で協力(とくに費用面)を拒まれました
このままでは猫たちは餓死してしまいます
シェルターのない私たちには20頭分の預かり先を探すのも大変でしたが、どうぶつ基金の助けを借りながら不妊手術をした後、なんとか保護して新しい家族を探すことにしました

生き物の飼育には向き不向きがある

今回の場合は飼い主さんには愛情はあるようでしたが飼育には向かない事は確かです
生き物を飼育した方は分かると思いますが、生き物の飼育は餌をあげては片付け、オシッコをしたら片付け、ウンチをしたら片付け…
そう、生き物の飼育は片付けばかりなのです
それができない人は生き物の飼育には不向きなのです

知識なく飼育することの恐ろしさ

多頭飼育崩壊は飼い主の無知識も原因のひとつです
猫の繁殖期は外猫で年に1~2回、室内猫なら年に3~4回訪れるといわれています
発情すれば猫は近親間でも繁殖をしてしまいます
そして生まれる子猫は1回の出産で4~5頭、それ以上の場合もあります

いくら不衛生な環境で餌も少なく、子猫が生まれてもなかなか育たないといってもジワリジワリと殖えていきます
生まれた子猫も半年を過ぎれば発情も始まり繁殖が可能になります

こういった猫の特性を知らずに猫を招いたこともひとつの理由でしょう

【一番の原因】は不妊手術を施していないこと

不妊手術の費用を出し惜しみする飼い主は昔に比べて少なくなったとはいえ今でも一定数は必ずいます
このような飼い主の経済的な理由は多頭飼育崩壊ではよく見受けられます
また、多頭飼育崩壊に至る可能性として高齢・認知症などの理由で地域から孤立している人が陥りやすいことも指摘されています
今回の事案は別居といえども、ご家族やご親戚(兄弟と子ども)がいたにも関わらず、こうなる手前で何ら手を打つことができなかったとても残念なケースでもあります

多頭飼育崩壊は生き物にとっては地獄

多頭飼育崩壊で保護した猫たちは猫風邪症状があったり、ノミやダニ、消化管内寄生虫(お腹の虫)がいたり、健康体でない個体も多いです
飼い主には愛情があったとしてもゴミ屋敷と化した不衛生な環境に閉じ込めていることは(法的には)虐待とみなされても仕方がないのです
(体調の悪い猫は現在ニャンニャンみずほにて治療中です)

とにかく悔やまれるのは、最初に迎え入れた猫に不妊手術を施していれば…ただ、ただ、そこなんです

家に犬や猫を迎え入れたら必ず不妊手術を施してください

  • ※ニャンニャンみずほは、公益財団法人どうぶつ基金の「さくらねこ無料不妊手術事業」に参加している瑞穂町と協働して多頭飼育救済を行いました。
    どうぶつ基金が発行する「さくらねこTNR無料不妊手術チケット」を使用し、不妊手術費用、ワクチン、ノミダニ駆除薬については全額どうぶつ基金が負担しました。
  • どうぶつ基金への応援も併せてよろしくお願いします