野良猫は家康が生み出した?

■「猫」の家畜化

猫の家畜が始まったのはおおよそ9500年前、中東でのことだそうです。その後、ヨーロッパ、アジアへと広がったと言われています。

家畜化された理由はネズミです。猫は穀物の番人として重宝されました。
古代エジプトでは猫が自然界に宿る神として壁画や彫像などにも描かれたり、人と猫を一緒に埋葬することもありました。

■日本に猫が入ってきたのはいつ?

日本に猫が来たという説はいくつかあるものの仏教の伝来とともに経典や古い書物を守るために船で一緒に渡ってきたと言われる説が有力のようです。
では日本での家畜化はいつ頃なのでしょうか?
平安時代の日本で高貴な身分の者たちが猫を飼っていたとされています。この頃はまだまだ猫の数はすくなく、猫が貴重な生き物だったことがうかがえます。

日本の歴史上で猫が活躍するのは慶長7年(1602年)、徳川家康の「猫放し飼い令」の頃です。それまで室内飼育が当たり前だった猫を、ネズミ駆除にのために放し飼いにしなさい!という令が発布されました。
この令は言い換えると「猫たちは人間のためにネズミ捕りをしなさい」ということです。

ただし、西洞院時慶(にしのとういんときよし)の自筆日記「時慶記」によると、放し飼いのために犬に襲われたり、猫同士の縄張りで追い出され家に帰れなくなった猫や、荷車に轢かれるなどの事故が起きるようになったといいます。

それと同時に、迷い猫を保護した、猫を探している、猫が見つからずにお参りをしたというような内容も見つかり、放し飼い令は猫にも猫好きにも有難迷惑な令だったのではないかと考えさせられます。

本来、猫は人が連れてきて家畜化した生き物で、同じ屋根の下で共生してきた生き物です。いきなり外に放たれたことで野良猫となり、困難を強いられたり、命を落とした猫がいたことは確かなようです。

■令和の猫事情

そして現在、数十年前に比べて猫の室内飼育がだいぶ定着してきたものの、まだまだ飼い猫を外に出し帰ってこなくなった…という相談が後を絶ちません。

毎日のように「迷い猫」の相談が相次ぎます。

事故も減りません。

そして昭和・平成・令和と時代が変わるにつれ、洋猫、長毛の猫を保護するということが増えました。このような猫たちが野良猫となった背景を想像すると憤りを感じずにはいられません。

どうか不幸な野良猫を作り出さないために、猫は終生室内飼育をお願いいたします。